安曇野の森から> ひとりでログハウスを建てる> どうやって一人で建てるか

どうやって一人で建てるか

ログハウスを一人で建てると決めた時、最初に考えたのは重いログをどうやって移動するかということと、建設中のログ壁が雨で濡れないようにするにはどうするかということでした。
また、検討する前提としてログハウスのサイズを決めないと具体的なログの重さや長さがわからないので、早い段階でログハウスのサイズを決めました。

以下では、これらの基本的なアイデアについて説明します。


重いログをどうやって運ぶか?

ログは車輪、滑車、ロープを使って人力で運びます。基本的には、全て、てこの原理の応用です。
今回使用した厚さ約100mmのラミネートログの場合、1m当たりの重量は約10Kgでした。購入したログキットではログの長さは長いもので約9mですので、余裕を見て重量が100Kgとして検討しています。
実際に作業した感じとしては6mくらいのログまでは何とか抱えて移動出来るようです。ただし、慣性力が、かなり働くのでログを抱えたまま振り回してしまうと簡単に止められなくなるため、慎重に行動しなければなりません。

ログは以下のような手順で動かします。下図は工事現場を上から見た図です。

ログ移動

?ログ保管場所に積み上げているログを地面に降ろします。
?ログ保管場所から釣り上げ位置までログを移動します。
?ログをログ壁の上まで持ち上げ、ログ壁の上に載せます。
?目的の位置までログ壁の上をログを滑らせて移動させます。

以下ではこれらの各手順でどのようにログを動かすかについて説明します。


ログ降ろし

保管場所からログを移動させるためには、まず胸の高さくらいに積んであるログを地面に下ろす必要があります。
また、ログを保管場所に無秩序に積んでおくと、必要なログを探して引っ張りだすのに時間がかかってしまいますので、ログをコンテナから開梱して保管場所へ積む際に、積む順番とサイズを指定して業者さんに積んでもらいました。積み上げの指示内容は以下のPDFファイルを参照ください。

ログ保管方法(PDFファイル、37KB)

以下では、ログを地面の降ろす手順を説明します。

ログ材降し治具

ログを降ろすには、このような治具を使います。一種の斜路で途中にログを止めるストッパが付けてあります。

ログ材降し手順1

降ろすログの一端に後述するログ移動治具の車輪を付け、ログの両端にログ降ろし治具を置きます。
車輪が付いていない端にあるログ降ろし治具は実際には使いませんが、車輪が付いている端をずらした時に反対側ログ端が滑り落ちる危険があるので、その事故を防ぐためにログ降ろし治具を両端に置きます。
この対策を怠ったため1本を落としてしまいましたが、落ちた反動で持っている側が跳ね上がるので非常に危険です。また、ログ端に衝撃が加わるためノッチのところで折れてしまう可能性もあります。この落としたログはノッチに亀裂を入れてしまいました。

ログ材の降し方

車輪が付いている端をログ降ろし治具のストッパまで滑らせます。

ログ材降し手順3

車輪が付いていない端を地面まで降ろします。

ログ材の運び方

車輪が付いている側を地面に降ろします。
車輪が付いていない端を抱えてログを移動させます。

ログ移動

ログ移動

ログは片側を車輪で支えることで移動させます。ログの片側を車輪で支えると、てこの原理により反対側を持つ人にかかる負荷が半分になりますので重量100Kgのログでも50Kgの負荷で運べるようになります。
大人一人を引きずって歩く感じですが、車輪が付いているため、思ったより移動は楽です。ログ運搬作業はログを持ち上げるという動作よりも、ログを抱えるか、ぶら下げて移動するという作業になりますので、腕力よりも足腰の力と持久力の方が重要です。

ログ材搬送治具

ログ材の移動に写真のような冶具(車輪)を作ります。治具はツーバイ材にホームセンタで買った台車用車輪(1つ¥1500くらい)を付けたものです。使う時には上下2片のツーバイ材の間にログを挟んでボルトで締め付けて治具を固定します。

ログ持ち上げ

ログ持ち上げ

ログの持ち上げは足場から下ろしたロープと滑車でやっています。動滑車により、持ち上げる負荷は半分になります。
一方を少し持ち上げたら、ロープをクリート(ヨットなどで使われているロープを簡単に固定出来るようにしたT字型の道具)に巻きつけて固定し、反対側に回って、そちらを少し持ち上げて固定するという動作を繰り返してログを少しづつ持ち上げます。

足場

ログを持ち上げるために基礎の周囲に図のように足場を組みます。

ログ持ち上げ

上図の奥にある高い足場から単管を突き出し、そこからロープを降ろしてログをログ壁の上まで釣り上げます。釣り上げたたら単管の上でロープの固定端をずらしてログを水平に動かし、ログ壁の上に載せます。

ログ持ち上げ用滑車

ここで使用した滑車(耐荷重350Kgで、1つ¥3000くらい)は大きめのホームセンターで購入出来ます。 ログ壁の上に載せたログはログ壁の上面を滑らせて移動させました。
最初はチェーンブロックで試してみましたが、上下移動に時間がかかって効率が悪いため、写真に示すような滑車を使う方法に変えました。

建築途中のログを雨から守るには?

屋根

屋根がかかるまではログ壁に雨がかからないように何らかの覆いが必要になります。
工事現場は森の中で風が少ない為、ブルーシート、ロープ、滑車を使った覆いの仕組みを作りました。 ブルーシートは11m x 7mの大きいサイズのものを2枚使っています。
ブルーシートのサイズが大きいので風が強い工事現場では危険かもしれません。今回はブルーシートの下に強風が吹きこんだ場合にブルーシートだけが吹き飛ぶようにブルーシートの固定には可能な限り細いロープを使っています。また、シートに張りが出るようにするためと、ブルーシートが足場を巻き込んで吹き飛ばないようにブルーシート下端はロープで足場に固定せず、重り(半分にした軽量ブロック)を吊すだけにしています。
ロープを使った固定には縛るのに時間がかかりますので、重りはブルーシートを張る作業時間の短縮にもなっています。
いろいろとやってみましたが、結局、ログ壁のカビを完全に防ぐことは出来ませんでした。このあたりはもう少し工夫が必要だと思います。
案外見逃しがちなのが屋根や周囲の足場から落ちる雨水で、これが地面に当たって跳ね返り、結構高い位置まで跳ね上がります。地面から1mくらいは楽に跳ね上がります。また、足場の渡し板は1.8mの位置にありますので、ここから跳ね返ると渡し板と同じくらいの高さのところまでログ壁が濡れてしまいます。

屋根ブルーシート

写真では棟がたるんでいますが、実際には棟部分に鋼鉄製のワイヤを通し、ウィンチで引っ張って棟がピンと張るようにしています。

屋根ブルーシート上の水たまり

それでもログ壁が積みあがって屋根の傾斜がゆるくなるにつれてブルーシートの上に雨水が溜まるようになってしまいましたので、ブルーシートの雨水が溜まる箇所に切れ目を入れて基礎へ雨水を落とすようにしました。この為、仮床から跳ね返った雨水が内側のログ壁を濡らしカビが生えてしまいました。

建てるログハウスの種類の広さ、高さ

間取り

平屋の方が建築時に高所作業が少ないのと、将来、塗装などの保守をする場合でも足場を組まなくても出来るという理由により、TALOのHI-4モデルを選択しました。HI-4の広さは10.5m x 7.9mで、使われるログの最大長さは8.5mです。
ただ、現在はTALOのホームページにHI-4モデルが見当たらないので、もう作っていないのかもしれません。
ログ材には厚さ約100mmのラミネートログを選択しました。セルフビルドの場合、ログ材の保管期間が長くなります。大工さんの話によると無垢のログ材の場合は、保管途中で湿度の関係などから、捻じれてしまうことがあるので、この捻じれを直しながらノッチを叩き込むのが結構大変とのことでしたが、ラミネートログは梅雨を挟んで保管していましたが、捻じれはほとんど無く作業は楽でした。
梅雨の期間に1本だけ小口でラミネートの接合部分にヒビが入ってしまいノッチまでヒビが広がらないかと心配していましが、一応、シーリング材を流しこむことで今のところ安定しています。多分、ノッチを組み合わせるとヒビわれしない方向にログが締め付けられるので安定しているのだと思います。

残念ながら平屋にすると2階建てに対して坪単価(床の坪面積当たり建築費)が1,4倍高くなります。

各モデルの坪単価比較(PDFファイル、15KB)

inserted by FC2 system