6千円でレーザーレンジファインダーを作る > 原理と構造

原理と構造

原理

以下で光切断法の原理を説明します。

LFR原理図1

左図は光切断法による位置測定の原理を示したものです。

薄くて扇状の赤外線レーザー(シート光)を上から斜め下に向かって照射します。
このシート光が測定対象物に当たった部分を赤外線カメラで撮影して距離を計算します。

蛍光灯などの一般的な室内照明光には赤外線は多く含まれてはいません。
そこで赤外線のみを透過する赤外フィルタを使って室内照明で照らされた背景と赤外線レーザー光を分離します。

太陽光や白熱電球光には赤外線が含まれますが、レーザー光よりも相対的に弱ければ画像処理によって、ある程度は分離することが出来ます。

LFR原理図2

赤外線カメラにレーザー光波長より短い波長の光をカットする赤外フィルタを取り付けると左図のように見えます。

この図で両脇の低い赤線が床に当たったレーザー光、真ん中の上にある赤線が測定対象物に当たったレーザー光を示しています。

前方に溝がある場合にはレーザー光が戻ってこないか、溝の反対側の面にレーザー光があたって戻ってきますので、レーザー光が見えないか、床面のレーザー光の位置より下にレーザー光が見える場合には、その位置に溝があることがわかります。


LFR原理図3

レーザーによるシート光が測定対象物に当たっている状態を上から見て模式化し、さらにシート光の内、放射角度がΘ1の一本のみを示したのが左図です。

Θ1はカメラ画像から計算して求めることが出来ます。
また、D1もレーザー発信器の下向き角度と高さが決まれば計算で求められますので、これらからD2は以下の式で求めることが出来ます。

D2 = D1 / cos(Θ1)


LFR原理図4

上記、放射角Θ1のレーザーが測定対象物に当たっている状態を横から見て模式化したのが左図です。

H2はカメラ画像から計算して求めることが出来るので。測定対象物までの距離D3は以下の式で求められます。

D3 = D2 - H1 / D2 x H2

後はカメラ画像の赤線が床位置より持ち上がっている部分のΘ1の値を端から適当なサンプリング角毎に求め、そこからD2とD3を計算すれば1ライン分の測定対象物の距離(形状)が分かります。


センサーが固定されている状態では1ライン分の位置しか分かりませんが、ロボットが移動しながら距離情報を集めることによって測定対象の垂直方向の形状も測定することが出来ます。これによって周囲の3次元マップを構築することが出来ます。

また、首縦振り用サーボモーターを追加してレーザー発信器を縦に振ればロボットを動かさなくても前方の3次元マップを得ることが出来ます。

構造

以下でレーザーレンジファインダの構造を説明します。

LFR構造

左図はレーザーレンジファインダのみを示したものです。

アルミ板を折り曲げて部品固定用フレームを作り、黒色に塗ってあります。

フレーム上部に赤外線レーザーポインタが斜めに固定されています。赤外線レーザーポインタの固定には市販の樹脂製ケーブルクランプを使っており、シート光の投射角度を調整することが出来ます。

フレーム下部にWebカメラが固定されています。このカメラのレンズ全面には赤外フィルタを小さく切ったものが貼り付けてあります。


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