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計画を立てる

計画は慎重に、実行は適当に、ただ安全だけには注意しました。遠足の前と同じで、この計画が一番楽しい時期です。


土地探し

東側道路

まずはログハウスの雰囲気に合った土地から探しました。通勤を考えて会社からの距離で範囲を絞り、以下のような条件で別荘地を中心に探しました。


別荘地はログハウスの雰囲気にあった場所が多いのですが、年間数万円の管理費(上下水道、除雪等)が必要になる場合があります。幸いにして私が見つけた土地は道路、水道が市の管理下にあるもので管理費が不要でした。
ただし、市の下水道整備地域から離れているため、下水の処理に合併浄化槽を設ける必要がありました。ちなみに大きな別荘地では開発会社が下水道を整備しているところもあるようです。

ログハウスをセルフビルドする場合には工事期間中に敷地内にログ材を保管しておく場所が必要なり、かなり広い土地が必要になります。別荘地として取引される物件は比較的広い土地(200坪以上が多い)が多く、その点でも助かりました。

配置

私が手に入れた土地は土地境界から5〜6m離れたところに沢が流れています。一般的には水に関係した土地(近くに川が流れているとか、地名に水に関係する名前が付いている等)は災害が起きやすかったり、地盤が弱かったり、湿気が多かったりするので、あまり良くないといわれています。
それよりも家の前に沢が流れているという雰囲気が気に入ってしまったので、特に湿度、災害履歴(土石流等)、土質を中心に事前調査を行った上で購入しました。

湿度は梅雨時に現地で測りました。平地に比べて20%程度湿度が高くなるようでしたが、安曇野周辺がもともと高山性の気候で湿度が低いので問題にならないと判断しました。伐採を行って土地が開けてしまうと風通しがよくなって、実際は湿度がそれほど上がらないようです。

災害履歴は市の土木課へ確認しました。市によってはハザードマップを作っていることもあるのでそれを利用する手もあると思います。確認の結果、この沢では昭和30年代に一度土石流が発生し、その後、上流に砂防ダムが造られ、それ以降は土石流が発生していないようでした。また、大きな台風があった年の新聞を図書館のマイクロフィルムで調べて付近で水害が発生していないことも確認しました。

この沢は幅6m程度の小規模のものながら一級河川に指定されています。この為、川岸から一定距離内は河川法対象区域(18m)と砂防地域対象区域(9m)で制限を受けますので注意が必要です。
特に砂防地域対象区域には建物を建てるのが難しくなりますので川の近くに土地を購入する場合には、どんなに小さい沢であっても事前に確認してください。

安曇野は地震発生確率の高い牛伏寺断層を始めとして近くに活断層が多いので、断層マップを購入して近くに断層がないことなども確認しました。

最後に土質調査については専門の調査会社に調査をお願いしました。
これだけ考慮しても土地購入契約の数日前に近くの沢がせき止められて水があふれ道路に泥が溜まるという小規模の(土石流?)災害が起こっていたのには笑ってしまいました。近くの温泉宿では露天風呂が泥で埋まって大変だったようです。多分、このような場所に住むには、ある程度のリスクは考慮しなさいという神様のお告げだったのでしょう。

土地購入から実際に建て始めるまでに、開始すべき季節や計画検討などの関係から1年以上開いています。この間、週末に現地へ行っては一人森の中で考えごとをするという幸せな時間を過ごしました。


情報集め

いろいろな本を読んでみましたが中でも以下の書籍がお勧めです。もし、1冊だけ買うとしたら「マシンカットログハウス大全」が良いと思います。

また、組み立て方の詳細についてはログキットについてきたマニュアルが非常によく出来ていましたので、とても参考になりました。マニュアルは契約しないともらえないようですが、代理店の方に参考に見せてもらうのもよいかもしれません。



代理店探し

TALO松本展示場.jpg 建築中に困った時、すぐに対処してもらえるように車で1時間の圏内でログハウスの代理店を探しました。

比較的名の知れたログハウスメーカ4社の代理店を回って話を聞いてみましたが、セルフビルドという話をすると、あまりよい顔はされませんでした。建設地に近い、ある代理店などは2度目に条件を変えて見積もりをお願いしたところ、結局、見積書を送ってくれませんでした。その代理店は工事が雑だと聞いていましたが、セルフビルドでしたし、最初の見積もりが、かなり安かったので心が動いていたのですが、多分、こういう代理店はセルフビルドのサポートも十分してくれないだろうと思い止めました。

最終的に、見積もりは少し高かったのですが、セルフビルドの相談に一番親切にのってくれたTALO松本さんにログキットの手配と個人では難しい工事をお願いしました。さすがに一人で建てるという話をした時には本気にしてもらえませんでしたが...

TALO松本さんには建築途中も、いろいろと無理を聞いていただいて助かりました。魅力的な女性の建築士さんもいますので、お近くの方は是非、展示場に行ってみてください。
また、建築途中で部材の収め方や加工方法など細かいところで分からないところが出てきます。この時に近くにモデルルームがあると、収め方や加工方法を実物で見て参考に出来るので非常に助かります。私も、この為に何度もTALO松本さんのモデルルームに通わさせていただきました。

TALO松本ホームページ

TALOインターナショナルホームページ


セルフビルドスクール

セルフビルドの雰囲気を知るために代理店主催のセルフビルドスクールにも参加しました。
確か、このスクールは無料だったと思います。

スクールに参加する前は素人が建てられるものか不安がいっぱいでしたが、スクールに参加することで作業の大体の感じがわかり、かなり気が楽になりました。また、実際に作業してみないとわからないことに気づいたり、ノウハウを教えてもらうことが出来るので、非常に参考になります。

また、薪ストーブ代理店主催の炉台制作のスクールにも参加しました。こちらのスクールは実技の材料費がかかりましたが、コンクリートの取り扱いは結構微妙なことがわかり、これだけでも十分元が取れました。コンクリートを練る時の固さ、水の加減、塗る時の感覚、コンクリートの固まるスピードなどは、実際に見て、やってみないと分かりにくいものです。


素人では出来ないこと

以下の仕事は特殊な機械や資格が必要だったり、1人で作業するには安全上の問題があるので業者さんにお願いしました。
セルフビルドする場合は自分の工事日程と業者さんにお願いする工事の日程調整をしないといけません。また、作業の取り合い(自分でやる工事と業者さんにお願いする工事の境目の部分)がある部分については不整合が生じないように十分な打ち合わせが必要です。


作業足場

足場階段1

ログを組み上げる際にかけやを大きく振り上げるという動作があります。これは足元が安定していないと危険です。また、高い位置にログを持ち上げて運ぶ際にも足元が安定している必要があります。

このため、少し大げさかとも思いましたが、建築開始前に基礎の周りに1.8mの高さで足場を組みました。さらにログ壁が身長を超えた時点で家の中にも足場を組みました。

足場材は6ヶ月程度のレンタルでお願いし、組上げ作業は、やり方を業者さんに教わって自力でやりました。組み上げ作業自体は足場材の運搬に体力を使うだけで作業そのものは特殊な工具も不要で難しくありません。あらかじめ段取りを組んでおけば1〜2日で組み上げ可能です。


日程

5月のゴールデンウィークに工事を開始し、次の年の10月に入居しました。約1年半かかっています。

最初に以下の日程表で計画しました。屋根工事までは計画どおりに進みましたが、以降の内装工事に思ったよりも時間がかかって完成が半年ほど遅れました。

日程表(PDFファイル 120KB)

安曇野は豪雪地帯ではありませんが、それでも冬に雪が積もる可能性があるので、雪が降る前に屋根をかける必要があり、そこから工事開始日が決まりました。

ちょうどログ壁を組み上げる期間に梅雨を挟んでしまったため、ログ壁が濡れてカビを発生させる原因となってしまいました。
また、運悪く、この年は諏訪地方で土石流災害が発生する程の長雨になってしまったので最悪です。
雪が降らない地方であれば、寒い時期にログ壁を組んでしまうというのもカビ対策の一つの手かもしれません。


予算

ログハウスのサイズと設備にどれだけお金をかけるかによると思いますが、今回建てたものは基礎工事等とログキット購入費全てで約2000万円です。

キッチン、洗面所、ユニットバス、トイレの部材に比較的高いものを使ったことと、オール電化にしたため、蓄熱暖房やエコキュートなどで、かなり費用がアップしています。また、ほとんど趣味の世界ですが、玄関のカギを電子化してキーパッド式にしたり、照明等のスイッチを全て電子スイッチにしたりと凝ってしまったため、そこでも費用がアップしてしまいました。このあたりに安いものを使えば100〜300万円くらいは安く出来ると思います。

また、ログ材移動のテストをするために伐採、整地、基礎工事を別々に発注したため、工事費用に無駄が出ています。このあたりもログキット購入と合わせて一括発注すれば安くなる可能性があると思います。


体力

3階くらいの階段を上るのに息切れするくらい体力が落ちているようだと、まずは体力作りが必要かもしれません。

ホームセンターで売っている長いツーバイ材を組み合わせてログ材と同じサイズのものを作り、事前に一人で移動が可能かテストをしてみましたが、息切れするようだと運搬中に足元がふら付いて危ないと感じました。

また、腰痛も抱えていましたので工事開始の半年ほど前からスポーツジムに通い体力作りをしました。そのせいか腰を痛めることなく無事に組み上げることが出来ました。


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